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抗がん剤治療中止

患者の意向に添った医師のコミュニケーション技術研修法は医師の共感行動を増加させ、患者のストレスや医師への信頼感と関連することから、患者の意向を重視したコミュニケーションは重要です。特に抗がん剤治療中止の知らせを伝えることは腫瘍医の最も困難な診療技術の一つに挙げられることから、このような話し合いの際に患者がどのようなコミュニケーションを医師に対して望んでいるのか理解することは大切です。

我が国の通院・入院中のがん患者で、担当医が治癒・延命を目的とした抗がん治療を推奨できないと考え、それが伝えられ1週間以上経過した方106名を対象として、抗がん剤治療中止を話し合う際のコミュニケーションに関する意向調査が行われました。抗がん治療中止期にある患者が医療者に望む行動に関して、9つの構成要素が抽出されました。事前に示したSHAREに加え、より踏み込んだ共感的パターナリズム、Empathic paternalismという新たな要因が明らかとなりました(心の準備が出来るよう言葉を掛ける、医師は今後の治療方針を決める、医師自身の感情を表現する等)。また、その関連要因として診断後早期に抗がん剤治療中止に到っている場合に共感的パターナリズムを望む傾向が明らかになりました。